カテゴリ「ドラマ」の記事 (2)

 長い冬の間に、アリたちが溜め込んだ食糧がとうとう底をついてしまった。巣の外へ出てみると、キリギリスの死体がみつかった。キリギリスのおかげで、アリたちは飢え死にせずにすんだ。

 ホトトギスが鳴いていると、アリがこう言った。
 「働きもせず鳴いているだけなんて、いい身分だね」
 すると、ホトトギスはこう答えた。
 「いい身分だなんて、とんでもない。鳴かないと信長に殺されてしまうのです」

 ナイチンゲールが鳴いていると、ホトトギスがこう言った。
 「あなたも信長に殺されないように鳴いているのですか?」
 するとナイチンゲールはこう答えた。
 「殺されるなんて、とんでもない。私は王様が死なないように鳴いているんです」

 グンタイアリが通過すると、その後には王様の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ナイチンゲールが鳴いていると、負傷兵がこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、早く治療してくれ」
 するとナイチンゲールは負傷兵の傷口にくちばしを突っ込んで、弾丸を取り出した。

 負傷兵が泣いていると、上官がこう言った。
 「これくらいの傷で泣くんじゃない」
 すると負傷兵は上官の立てた作戦に首を突っ込んで、ダメ出しをした。

 グンタイアリが通過すると、その後には負傷兵と上官の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ホトトギスが鳴いていると、ウグイスがこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、卵を温めろよ」

 ウグイスが平安京で鳴いていると、エイリアンがやって来た。

 ウグイス嬢が泣いていた。たぶん事情があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 ホトトギスを鳴かせてやろうと、山猿があれこれと挑んでいた。

 アリがナシにたかっていた。これってアリ、それともナシ?

 アリクイとアリジゴクが睨み合っていた。双方、何もできず、勝負にならない。

 アリがこう言った。
 「さあ、立ち上がってかかって来い」

 ミツバチが毎週泣いていた。脚が二本足りないのが、たぶん悲しかったのだろう。

 ハチミツをクローバーにかけて食べる。これってアリ、それともナシ?

 カレーをナシにつけて食べる。これってアリ、それともナン?

 アリクイがバクにこう尋ねた。
 「夢なんか食って、うまいのか?」
 するとバクがこう答えた。
 「頼むから、蟻を食ってる夢を見るのはもうやめてくれ」

 その夜、アリクイは夢の中でバグを食っていた。
 結局、虫じゃないかとバクは思った。

 シロアリは、クロアリから届いた手紙をうっかり食べてしまった。
 クロアリは、「何か用?」と訪ねて来たシロアリをうっかり食べてしまった。
 すると、グンタイアリが通過して、後には何も残らなかった。

 オウムが富士山麓で鳴いていると、機動隊がやって来た。

 ナイチンゲールが泣いている横で、負傷兵がこう言った。
 「ごめん」
 たぶん情事があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 どうやっても鳴かないホトトギスに、山猿が困り果てていた。そういう無理強いは、もうよした方がいいと思う。

 ナイチンゲールがぐったりしている横で、アリクイが泣いていた。
 「嘘つき」
 たぶん何か行き違いがあったのだろうが、これ以上詳しいことは、もう語らない方がいいと思う。

 作者が弱音を吐いた。
 「この形式でひねったストーリを書くのは、もうこのへんが限界っす」

 キリギリスが鳴いていると、マツムシとスズムシとクツワムシとウマオイがやって来て、セッションが始まった。演奏が終わると夜が明けていた。
 「また来年もやろうな」
 そう言い合って、彼らは去って行った。


※スケジュールの都合により、「地底の大王と底なしの穴」の続編「地底一族の陰謀」は、明日の18:30に公開します。

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 ――その次の夜、語り姫は話の続きを語った。

 おお、幸多き王様、第一の鼠はこのように語ったのです。

 ある研究施設の実験で鼠に移植された私の脳は、来る日も来る日も繰り返される迷路の実験に飽き飽きしていました。(こんな単純な迷路なんて、ちっとも面白くない)と、私は思いました。すると、私の脳の中で、こんな声が聞こえました。
 (ねずみさん、ねずみさん)
 それは、私が迷路の中で餌の在りかを捜していると、ときどき私の脳に直接聞こえてくる声でした。
 (わたしがもっと楽しいところに連れて行ってあげるわ)
 (本当に?)
 (本当よ)
 その声の主は、頭の中で私のいる迷路の壁に穴を開け始めました。すると、現実の迷路の壁に穴が開きました。
 (一体どうなっているんだ、この世界は……)
 私は吃驚仰天して、気を失ってしまいました。

 気がつくと、私は妙な小部屋の中にいました。どういうわけか、壁も床も天井も全部が全部真四角です。四面ある壁のうちの隣り合った二面は窓になっています。窓というより壁全体が半透明の素材でできているといった方が正しいのかもしれませんが、外光が入ってきているのでやはり窓だろうと思います。左側の窓は黄色く、右側の窓は赤く着色されています。天井も窓と同じ素材のようで白く光っています。

 壁と床は一面真っ黒で、真ん中に丸いハッチが付いています。どうやら、ここは扉付きの立体迷路になっているようです。これは面白そうです。

 左側の壁のハッチを開けてみると、隣の小部屋が見えました。左側は赤窓、天井は白窓になっていて、右側と正面と床にはハッチがありました。
 右側の壁の扉を開けてみると、隣の小部屋が見えました。右側は黄窓、天井は白窓になっていて、左側と正面と床にはハッチがありました。
 床の扉を開けてみると、床下の小部屋が見えました。左側は黄窓、右側は赤窓になっていて、その他の壁と床にはハッチがありました。

 この小部屋の中にいたままで分かることはこれだけです(窓は開かず、外の景色を見ることはできませんでした)。あとは隣の小部屋と床下の小部屋に移って調べるしかありません。私は、迷路を進むときのいつものやり方(左手を壁にあてて進む)で、隣の(左手側に赤窓のある)小部屋に移動しました。潜り抜けたハッチはかすかな機械音を立てながらゆっくりと自動的に閉まりました。把手をひねってみましたが、びくとも動きません。オートロックになっているようです。

 左手側に赤窓のある小部屋の正面のハッチを開くと、また小部屋がありました。左手側に赤窓、正面に緑窓がありました。その小部屋の右手側の扉の向こうには左手側に緑窓、正面と右手側にハッチのある小部屋があり、さらにその先には、左手側に緑窓、正面に橙窓、右手側にハッチのある小部屋がありました。その次の小部屋は左手側が橙窓、正面と右手側がハッチ、その次は左手側が橙窓、正面が黄窓で右手側がハッチ、そのまた次は左手側が黄窓、正面がハッチ、さらにまたその次は左手側が黄窓、正面が赤窓、右手側がハッチの小部屋でした。どうやら一巡して最初の小部屋に戻って来たようです。8個の小部屋の天井は白窓に統一されていて、床には必ずハッチがありました。

   緑緑緑
   窓窓窓
   ↓↓↓
赤窓→□□□←橙窓
赤窓→□?□←橙窓
赤窓→□□□←橙窓
   ↑↑↑
   黄黄黄
   窓窓窓

 八つの小部屋の中央にはもうひとつ小部屋があるはずです。そこで私は、もう一度、左赤窓の小部屋に移動しようとしましたが、さっきは開いたハッチが開かなくなっていました。一つ前の左黄窓の部屋に戻るハッチも開きません。どうやら一度通ったハッチはロックされてしまうようです。仕方がないので床にあるハッチを開いて下の小部屋に移動しました。

 下の小部屋には赤窓と黄窓があり、他の壁と床にはハッチがありました。上の小部屋とほぼ同じ構成ですが、天井が窓ではないので、上よりもかなり暗く感じます。壁のハッチを両方開けてみました。予想通り、左は赤窓の小部屋、右は黄窓の小部屋につながっていました。床のハッチを開けてみると、この小部屋と同じ向きに赤窓と黄窓がありましたが、床は青窓になっていました。何だか吸い込まれそうな気がしたので、すぐにハッチを閉めました。

 窓の配置はだいたい見当がついたので、今度は黄窓の部屋に移動しました。左手側のハッチを開ければ、まだ見ていない中央部の小部屋を見ることができる筈です。そこで私は、ハッチを回しました。すると、驚いたことに…。

 ――ここまで話したとき、語り姫は、暁の光が射すのを見て、慎ましく口を噤んだ。

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