昔、昔、ある国に、四十人の盗賊がいました。
ある日、盗賊のお頭が突然こんなことを言いだしました。「今回は、白雪姫に出てくる魔法の鏡をいただいてくるダベェ~!」
すると、三人の手下が(中略)、変なメカに乗って発進しました。
「えー。何ですって? 四十人もいないって? いますよ、ホラ。残りの三十六人は、こんなふうになってるのよー」と、手下の一人の出っ歯の男が言いました。
「いつものインチキでまんねん」と、もう一人のがっしりした体格の男が言うと、女ボスが、「お前たち、何をごちゃごちゃ言ってるのさー。さっさと白雪姫を誘拐してくるんだよー」
白雪姫が、いつものように七人の小人の家で留守番をしていると、「リンゴはいらんかねー」という声が聞こえてきました。
扉を開けると、お婆さんがリンゴの入ったかごを提げて売り歩いています。
「おばあさん、リンゴを一つくださいな」と、白雪姫が声をかけると、出っ歯のお婆さんが振り向いて、「あらまあ、本当に不用心な子ねえ」
しばらく後、小人たちが家に帰ってくると、白雪姫の姿がありません。床には一口かじったリンゴが落ちていて、テーブルの上には一枚の紙きれがありました。
| 白雪姫はあずかったわよー。返して ほしかったら、魔法の鏡を持って、 岩山の秘密の隠れ家まで来てねー。 四十人の盗賊より |
これを読んで、眼鏡をかけた鼻下鬚の小人が、こう言いました。
「諸君。白雪姫が誘拐された。ただちに出動!」
「ラジャー!」
五人の若い小人が、五種類の小鳥に変身しました。
この様子を魔法の鏡で見ていた継母は、意地悪そうな笑みを浮かべて、こう言いました。
「誰が白雪姫なんかを助けに行ったりするもんですか」
そして、鏡に向かって、こう言いました。
「鏡よ、鏡。世界で一番まぬけな泥棒は誰だい?」
すると、鏡は、こう答えました。
「それは、白雪姫を誘拐して岩山の洞窟に閉じ込めた三人組の泥棒です」
窓の外で、五羽の小鳥が飛び立つ音がしました。
「一体どうなってるんだい? 誰も魔法の鏡を持って来ないじゃないか!」
「どうしたんでしょうね~」
「ホンマやなー」
岩山の洞窟に閉じ込められている白雪姫が目を覚ましました。
「ここは、どこかしら?」
白雪姫は起き上がってあたりを見回しました。どこもかしこも真っ暗でしたが、遠くの方に一筋の光が見えました。
「あれは、何かしら?」
立ち上がって、光の方へ歩き始めると、何かが足にあたりました。
「これは、何かしら?」
拾い上げると、何だか壷のような形をしていました。それを抱えて、白雪姫は光に向かって歩き続けます。
「お前たち、いつまでもボケーッと待ってないで、何とかおしよ!」
「アラホラサッサー!」
白雪姫は、やっと光の当たっている場所にたどり着きました。洞窟の天井に小さな穴があいていて、そこから外の光が射し込んでいるのでした。
「あんなに高いところに、どうやって上ったらいいかしら…」
すると、その穴から、五羽の小鳥が飛び込んできました。
「まあ、小鳥さんたち。わたしを助けに来てくれたのね!」
小鳥たちは嬉しそうにさえずって、白雪姫のまわりを飛び回りました。
「でも、どうやったら、ここから出られるのかしら」
白雪姫がそう言うと、小鳥たちは白雪姫の目の前に集まって、ぐるぐると回転し始めました。そしてどんどん勢いよく回ります。すると、つむじ風が起きて、飛び散った小さな羽が、白雪姫の鼻に入りました。白雪姫がくしゃみをすると、持っていた不思議な壷がぐらぐらと踊りはじめました。
突然現われた変なデザインの巨大なメカが、白雪姫の継母のいるお城を壊して、魔法の鏡を奪って行きました。すると、継母はハッとしてこう言いました。
「ああ、わたしは何をやっていたのでしょう! 世界で一番大切な白雪姫がさらわれたというのに…」
継母は、これまでずっと魔法の鏡に取り憑かれていたのです。
すると、そこへ魔法の絨毯に乗った白雪姫が帰って来ました。
元に戻った優しい継母と白雪姫は抱き合って喜び合いました。五羽の小鳥たちと、メタボな体形の魔王も、みんな一緒に大喜びです。
その頃、三人の盗賊は、魔法の鏡の前で…。
「開け、ゴマ! おかしいな、何も映りませんよー」「ほなら、開け、シロゴマ!」「白雪姫だけに白ゴマねー」「何やってるんだい、こっちにお貸しよ。開け、ウインドウ! あれ? 違うのかい?」「変ですねー」「おや? ここんとこにリンゴのマークがありまっせ」「なるほどー。白雪姫だけにリンゴだったのねー」「それじゃ、開け、アップル!」「違いますよ、開け、リンゴ!」「ほなら、開け、ドクリンゴ!」「お前、今、何て言った? あたしゃ何だかイヤーな予感がするよ…」
すると、魔法の鏡の中から、盗賊のお頭の声が、「このアカポンタン!」(後略)

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