後宮から逃げ出した二人の男(以下、AとBと呼ぶ)は、実は姿を消す魔法のマントを着ていたのだ。どうでもいいことだが、マントの下はすっぽんぽんの丸裸という伝統的な変態スタイルだ。
薄暗がりに、仮面をつけた男が現われた。
AとBが同時に「誰だ」と叫ぶと、仮面の男がこう言った。
「ぺらっぺらの裏地が見えてるぞ」
ひとしきり哄笑したかと思うと、急に真面目な声に戻った。
「おれは死だ」
翌朝、兵卒がBの死体を発見したとき、仮面の男とAは既に現場から姿を消していた。そこへ安葉巻をくわえた男がやって来て死体を見たり足跡をたどったりしてうろつくことはなかった。
ひょっとこの面をつけた男が花見の船で酒を飲み、酔った足でふらふらと踊っていた。その様子を橋の上からAが見物している。横波を受けた船が揺れ、ひょっとこがよろけてひっくり返った。見物客はどっと笑ったが、船の上は急に静かになった。どうやら、ひょっとこが死んでしまったらしい。
年老いたAが猫に向かって話しかけている。何やら若かった頃の思い出話のようだ。その様子を障子の隙間から五匹の鼠がそっと盗み見ていた。


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