昔、不眠症の王様がいた。大臣の娘が夜毎に語る驚くべき話の続きを聞きたくて、娘を生かし続けているという。この王様、昨夜の話を聞いたせいで、また眠れなくなってしまったようだ。
「蜃気楼といったら砂漠の彼方にゆらゆらと現われる幻のことじゃな。それが、なんで海辺に出てくるのじゃ?」
「おお、王様! シナでは大ハマグリの吐く息が蜃気楼になると言われているのでございます」
「それは驚くべき話じゃな。シナの砂漠にはハマグリがおるのか! しかも、鳥をつかまえるほどの大きなハマグリが…」
ここで、王様は何かひらめいたようだ。
「おお、そうじゃ。その大ハマグリをシナから取り寄せるとしよう」
この王様、一体何を妄想しているのだろうか?
- 大ハマグリを食べてみたいと考えている
- 大ハマグリで鳥をつかまえてみたいと考えている
- 大ハマグリでつかまえた鳥を食べてみたいと考えている
- 大ハマグリの吐く息でできた蜃気楼を見たいと考えている
- 大ハマグリの吐く息でできた蜃気楼を食べてみたいと考えている
- 大ハマグリの吐く息でできた蜃気楼に食べられてみたいと考えている
- 大ハマグリにはさまれてみたいと考えている
- 大ハマグリにはさまれながら鳥を食べてみたいと考えている
- 大ハマグリにはさまれながら鳥に食べられてみたいと考えている
- 大ハマグリにはさまれながら鳥のように飛んでみたいと考えている
- 大ハマグリにはさまれながら蜃気楼を吸ってトリップしてみたいと考えている
- その他
――ここまで読んだ大臣の娘は、呆れ果てて口を噤んだ。


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