昔、へそ曲がりの占い爺さんがいた。めでたいことがあると不吉なことを言い、不幸なことがあると吉兆だなんて言うので、周りの人々には煙たがられていた。
あるとき、爺さんが飼っていた馬が逃げ出した。人々が、さて爺さんは何と言うだろうと集まって噂していると、爺さんが出てきて、こう言った。
「幸いなことが起こるに違いない」
しかし、しばらく待っても馬は戻って来なかった。困った爺さんは、こっそり仙人に相談した。仙人は、ある絵描きを紹介してやった。
ある日、絵描きのところに変な爺さんがやって来た。逃げた馬の絵を描いてくれという。絵描きは馬の特徴を聞きながら、筆を走らせた。完成した絵を渡すと、爺さんは困ったような顔をしている。
「ああ、瞳がないのは気にせんでください。私が瞳を描くと、本物が飛び出してしまうのですよ」
「わしは、その飛び出した馬が欲しいんです」
爺さんが、絵の中から飛び出した馬を連れ帰ると、行方不明になっていた馬が戻っていた。人々が集まって、爺さんが何と言うかと待ち構えている。
そこで、爺さんは言った。
「これは災いになるに違いない」
しかし、一向に不幸なことなど起こる気配もない。困り果てた爺さんは、馬を絵の中に戻そうとして目玉をくりぬいた。しかし、それは元々爺さんが飼っていた馬の方だった。
もう少し待っていれば、そのうち良いことや悪いことが起きただろうに。一流の占い師は、決して余計なことをせず、何か起きてから「ほら、当たった」と言うものだ。


コメントする