昔、胡散臭い武器屋が矛と盾を売っていた。
矛を売るときには「この矛は、どんな盾でも貫くことができる」と言い、盾を売るときには「この盾は、どんな矛にも貫かれない」と言っている。
客の一人が「それでは、その矛でその盾を突いたら、一体どうなるんだい?」と尋ねたところ、武器屋は「それでは実際にやってみよう」と、その客に盾を持たせ、自分は矛を取った。
客は「おいおい、もしこの盾が貫かれたら、怪我をするのは私の方じゃないか」と言って、武器屋に盾を返して、矛と交換させた。
武器屋は盾を構え、客は矛を構えている。狙いを定めて思いっきり突き込むと、矛先は盾の中へとずぶりと沈んだ。
客は「この矛は盾を貫いたぞ。ということは、その盾は矛に貫かれたわけだな」と言って盾の裏側を見た。すると、どうしたことか矛先はどこからも突き出ていない。
武器屋は平然として「この通り、矛は盾を貫き、盾は矛に貫かれなかった」と言い放った。
納得できない客が「矛先はどこへ消えたんだ?」と尋ねると、武器屋は「消えたのではない。次元の壁を越えて別の空間に突き出しているのだ」と答えた。
このことから「矛先を転ずる」という言葉が生まれたそうだ。


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