ヴィクターは、ウィリアムとジュスティーヌを蘇生させたことが果たして正しいことだったのだろうかと思い悩んでいた。
ある日、いきなり現われた醜い怪物が、ヴィクターにこう言った。
「悩んでいても仕方がない。自分がしたことの結果を、自分の目で確かめることだな」
醜い怪物は、ヴィクターを森の中の小屋に連れて行った。ヴィクターは知らなかったが、そこはかつて醜い怪物が盲目の老人たちの家族を覗き見していた場所だった。ヴィクターは、その小屋の中から醜い怪物たちの暮らしぶりを覗き見た。
醜い怪物は、朝早くから起きて、薪を割り、水を汲み、火をおこし、煮炊きをし、ウィリアムとジュスティーヌに食事をさせた。食事が終わると、三人の家族は外に出てきた。ウィリアムは篭を背負って家の近く木の実や野草を集め始めた。ジュスティーヌは袋を担いでどこかへ歩いて行った。そして、醜い怪物が、ヴィクターのいる小屋にやってきた。
「あんたに一つ頼みがある」
「何だ?」
「あの二人の服と靴を持ってきてほしい」
「分かった。明日にでも持ってきてやろう」
「できれば今すぐ持ってきてほしいんだが…」
「なぜ、そんなに急ぐ?」
「あんた、あの二人が裸足だったことに気付かなかったのか?」
「え? そうだったのか?」
「おいおい、何をぼんやりしてたんだ。もしかして、あんた、二人とも裸だったことにも気付いてないんじゃなかろうな?」
「えーっ? 本当に?」
「しっかりしてくれよ。服が一着ずつしかないから、洗濯する間はみんな裸なんだよ」
「分かった。すぐに持って来るから、ここで待っていろ」
ヴィクターが小屋から出ようとすると、醜い怪物が呼び止めた。
「それから、もう一つ」
「ほかにも何か…?」
「いや、そうじゃない。そろそろ、おれのことを“醜い怪物”と言うのをやめてくれないか」
ヴィクターは答えることができなかった。
要するに、ヴィクターが閉じこもって悩んでいる間に、彼らは、極貧の生活を送っていたわけだ。今までずっと、やつがウィリアムを殺したのだと思い込んでいたが、そうではなかったのかもしれない。そんなことを考えながら、ヴィクターは家に帰った。幸い、家には誰もいなかった。ヴィクターは急いでウィリアムとジュステーヌの部屋から靴や衣類などを持ち出した。
荷物を抱えて森の中へと入って行くヴィクターの姿を、遠くから誰かが見ていた。


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