メアリーは、少年の死体が温かいうちにと急いで話を書き始めた。
昔、昔、あるところに、心優しく見た目も美しい天使のような少年がいました。実は、この少年の頭の中には脳味噌のかわりに、こんがらがったパスタが詰まっているのですが、少年の家族にはそのことは内緒です。
これを読んだジョナサンは、なぜ小型トラックやアイスクリームやマッド・サイエンティストの兄を使わなかったのだろうと思った。
少年には両親と兄がいました。兄は難しい病気にかかっていたので、両親はもう助からないものと思い、少年を可愛がってくれました。ところが兄の病気が治ったとたん、両親は兄を可愛がるようになりました。
おやおや、これはどこかで見たような話だぞ、とジョナサンは思った。
ある冬のこと、少年は家族と一緒に山奥のホテルに行きました。雪に閉ざされたホテルの中で、父親はなぜか次第に恐ろしい存在になっていきました。そこで、少年は森の中へと逃げ出しました。
これも何だかどこかで読んだような話だな、とジョナサンは思った。
森の中には、少年の本当の生みの親のマッド・サイエンティストが住んでいました。少年の話を聞いたマッド・サイエンティストは、少年の母親の髪の毛からクローン人間を作って、新開発の蟹味噌を入れてやりました。こうしてパスタ脳の少年と蟹味噌脳の母親は、いつまでも幸せに暮らしました。
やっとマッド・サイエンティストが登場したかと思ったら、この結末はひどい。せめて、母子の幸せが続くのは蟹味噌が腐るまでに限定すべきだろう。いや、母親の記憶が何の説明もなく蟹味噌に転写されているところがどうも気になるぞ。こんな穴だらけの話で感動の涙を誘えるなんて考えるのはどうかしている。それに、そもそも怖い話を書こうとしていたのではなかったのか?
ジョナサンはメアリーにそう話した。するとメアリーは、こう言い返した。
「じゃあ、あなたが自分で書けば?」
確かにそれは、もっともな話だな、とジョナサンは思った。


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