女吸血鬼の体内に吸収されたジョナサンの血によって、もはやジョナサンは氷の上で血を流している鼻の怪物ではなく、自室のベッドに横たわるジョナサンとなった。メアリーが書いている話の中に登場する犬橇に乗って鼻の怪物を追いかけていた鼻をなくした男は、だから鼻の怪物を見失うことになったのだ。その後、鼻をなくした男の鼻は、なくなったときと同様、これといった理由もなく唐突に元に戻ることになる。そしてメアリーは、それまで書いていた話が気に入らず、すべて破棄した。
ある日、ジョナサンとゴダルミング卿が、麺類に電気ショックを与えると電気的な反応があったという、ある分野では有名な実験(*)について語っていた。
「麺類に生命が宿って知能が芽生えたとしたら、どうする?」
「初歩的な数学の問題ぐらいは解いてほしいね」
「問題は、どうやって麺類に鉛筆を持たせるかだな」
「麺だけじゃ無理だろう。肉や骨も入れてやらなきゃ」
「それと目玉もあった方がいいね」
それを聞いていたミナが、突然、天啓を受けたように立ち上がった。
「これだわ!」
そう叫んで、メアリーは一心不乱にモンスターの話を書き始めた。
(*)「科学情報 ウドン・スパゲティ」(吉村文庫)。本日、都内某所で販売されるブルーレイ版にも収録されています。


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