セワード医師の怖い話

 彼ら四人は、ドラキュラ城に滞在して、のんびりとした日々を過ごしていた。雨に降り込められて、ドイツ語で書かれた怖い本などを読んでいたが、どうもやはり外国語ではピンと来ない。そこで、ゴダルミング卿(アーサー)が、こんなことを提案した。
 「みんなで、怖い話を書いてみましょうよ」

 そこへ、セワード医師が顔を出した。
 「皆さんお揃いで、何を考え込んでるんですか」
 ルーシーが答えた。
 「この人が、みんなで怖い話を書こうなんて言い出したものだから…」
 「なるほどね。それじゃあ、私は吸血鬼の話でも書くとするか」
 乗り気になったセワード医師は、自室に戻ってタイプライタを打ち始めた。

 セワード医師の部屋から聞こえるタイプの音は、途切れることなく続いている。
 「あの先生に、こんな才能があったとは知りませんでした」
 ルーシーがそう言うと、アーサーが心配そうな顔をした。
 「それにしても、これは尋常ではないな。ちょっと様子を見て来よう」
 数分後、彼は真っ青な顔で戻ってきた。
 「まあ、そんなに怖い話だったんですか?」
 クレアが尋ねると、バイロン卿はこう言った。
 「いや、ジャックのやつ、話なんか何も書いてなかったよ」

 ははあ、今回はこういう趣向なのかとジョナサンが思っていると、突然、ミナが天啓を受けたように立ち上がった。
 「これだわ!」
 そう言って、メアリーは一心不乱にモンスターの話を書き始めた。


【誤記訂正】(2009/08/09 20:20)
(誤)ナンシーが答えた。/ナンシーがそう言うと、

(正)ルーシーが答えた。/ルーシーがそう言うと、

人名をすり替えるネタで、元の名前を間違ってしまいました。謹んでお詫びします。

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このページは、かみ かずしげが2009年8月 9日 02:36に書いたブログ記事です。

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