住宅がそんなふうだから、当然、衣と食も悲惨なことになっている。
このように住まいのつくりは悪いとはいっても、手足の垢切れ、ノミ、シラミ、肘の苔にいたるまで足りないということはない。元手がないので商いもせず、作物を作らないので食べ物もない。四五日の間に一度も起き上がらずに寝て暮らしていた。
早い話が、ダンボールハウスにニートが寝転がってるようなものだ。(ここまで適当に逐語訳をやってきたけれども、以下は適当に要約する)
あるとき、親切な人が餅を五つくれたので、待ってましたと四個食ってしまった。残りの一個は次に誰かが何かをくれるまで大事に取っておこうと思って、寝転がって弄んでいた。そのうち手が滑って餅が大通りまで転がっていった。物くさ太郎は拾うのも面倒だ、そのうち誰か通るだろうと思って、竹竿で犬やカラスを追っ払いながらずっと待ったが誰も来ない。
三日後、あたらしの郷の地頭、左衛門尉のぶよりという人が通りかかった。小鷹狩りの帰途で五六十騎のお供を引き連れている。それを見た物くさ太郎は、そこの餅を取ってくれと言ったが、耳も貸さずに通り過ぎて行った。馬から下りて拾ってくれるぐらい簡単なことじゃないかと思い、「ああ、ひどい殿だ」と腹立ち紛れにつぶやいた。それを聞いた左衛門尉は腹を立て「物くさ太郎とかいうやつは、おまえか」と言う。「そうです」「お前はどうやって暮らしているのか」「人が何かくれた時は何でも食べます。くれないときは四五日でも十日でも、ただ空しく過ぎます」「不憫なやつだな。土地を耕して暮らせ」「土地は持ってません」「ならば与えよう」「面倒くさいので欲しくありません」「商いをして暮らせ」「元手がありません」「与えよう」「今さら不慣れなことはできません」「困ったやつだな。それなら助かるようにしてやろう」と言って、以下のようなお触れを出した。
この物くさ太郎に、毎日三合の飯を二度食わせて、酒を一度飲ませること。これができない者は領内に住んではならない
これを見た百姓たちは「そんな無茶な」と思ったが、三年間、物くさ太郎を養った。
しかし、さすがに三年もの間、ただで食わせてやるほど甘くはない。国司から、長期間の使役を一人割り当てられたので、百姓たちは相談して、物ぐさ太郎にやらせようということになった。
「物くさ太郎さん、重大な夫役に当たってしまいました。助けてください」「それは何ですか」「長夫というものが当たったのです」「それは何尋ぐらいの長さの物ですか」「いやいや、そのような長い物じゃなくて、私たちの中から選んだ人を都に上らせて仕事をさせることを長夫というのです」
このようにして、あれこれと説得するけれども、物ぐさ太郎はなかなかうんとは言わない。そこで、ある人が「都の人は田舎の人よりも情が厚い。どんな人でも嫌がらずに夫婦になるという慣わしがあります。都に上って情深い心をもつ人と一緒になってみませんか」などと言いくるめて、物ぐさ太郎をやっとその気にさせた。百姓たちはみんな大喜びで旅費を出し合って、物ぐさ太郎を都に送り出す。
この後の話がさらに凄いのだが、今日はここまで。

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