空から降りてきた少女は地面に横たわったまま眠っている。ジョナサンは困ってしまった。あの得体の知れない妙な生き物を追いかけて光る玉を取り返したいのだが、この少女を放っては行けない。手を触れて揺り起こすことはためらわれる。跪いて、少女の寝顔に向かって声をかけてみる。
「起きてください、お姫様」
自然に、そういう言葉が出てきた。すると、少女は目を開いた。
「王子さ…」と、言いかけた少女は、ジョナサンの顔を見て、言い直した。
「おじさま」
ジョナサンは、これまでの経緯を少女に語りながら、これは夢の中のできごとなのだと悟った。こんな炭坑には一度も行ったことはないし、第一、自分が坑夫であるわけがない。
ジョナサンの話を聞き終わった少女は、驚くべきことを言った。
「すると、これはあなたの夢の中でもあるのですね」
ジョナサンが黙っていると、少女はこう続けた。
「そうです。これは、私の夢の中でもあるのです」
――そして、眠り姫は、次のように語った。
私は、十五才になったときに百年間の眠りにつきました。その夢の中で、私は何度も目覚める夢を見ました。目が覚めるたびに、私はなぜか様々な人に変身しているのです。そして、これが夢の中の出来事なのだと気付いてから、出来事の奥にある意味を考えるようになりました。
あなたが今見ている夢にも、奥の方に何か意味があるのだと思います。炭坑や光る玉や妙な生き物には深い意味はありません。もちろん今の私の顔形や服装にも意味はないのです。
あなたが妙な生き物にもらったドングリを見せてください。これと同じものを、あなたは今日の昼間にも見たんですね。さあ、あなたの家に行きましょう。
――眠り姫は、ベッドで眠るジョナサンの横に現われて、語り続けた。
この夢が終わったときに、私は本当の目覚めを迎えるのだと思います。あなたの話を聞いて、なんとなく、そんな気がしました。
これが、昼間に見たドングリですね。この二つのドングリを比べてみてください。そうです。そっくり同じです。
――眠り姫は、ジョナサンの手からドングリの片方を取って、あることをした。ジョナサンが同じことをするのを待って、眠り姫は再び語り続けた。
ここ数年、といっても眠っているので時間のことは正確には分かりませんが、夢の中に邪悪な気配が漂っているのを強く感じるようになりました。何者かが巨大な悪巧みをしているようです。この二つのドングリは、その何者かと戦えという意味だったのです。あなたと一緒に。
――眠り姫は、いつの間にか裸体になっている。ジョナサンも裸だ。そして、眠り姫は、こう言った。
その前に、あなたの抱えている問題から片付けましょう。


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