サンダルをはいた猿

 だらだらと続く上り坂で馬鹿話をする者もなく、みんな退屈していた。馬に乗った猿が、道の傍らに落ちている古そうな靴を見つけた。猿はすぐに馬から下りて、それを手に取って見た。
 「何だ、この靴、壊れてるじゃん」
 猿が放り投げたのを見て、禁太郎がこう言う。
 「ああ、それはサンダルだよ。壊れてるんじゃなくて、元々そういう形なんだ」
 「ふーん、そうか」
 それを聞いた×××姫の耳がぴくりと動いた。どうやら何かひらめいたらしい。犬神から飛び下りてサンダルを拾い上げたかと思うと、禁太郎の腹掛けと馬の角を奪い取った。さて、今度は何をやるのかと一同が見ていると、×××姫は、(両手に持った角が邪魔で苛々しながら)サンダルを足にはき、腹掛けを後ろ前に着て、両手で髪をおかしな形にまとめながら角を頭の両側に付けた。そして、厳かに一言。
 「×んとくん!」

 数秒間の沈黙の後、禁太郎が言った。
 「さ、行こうか」
 熊は「何でも伏せ字にするなって。まんとくんは××ジカとは違って二次創作には寛容なんだぞ」とぶつぶつ言っている。禁太郎が「えっ、今の、まんとくんだったの?」とボケると、馬が「じゃあ、何だと思ってたんですか」と突っ込む。
 呆然と立ち尽くしている×××姫の足に、猿が飛びかかった。
 「それ、返せよ。俺が見つけたんだぞ」
 しかし、×××姫は例の〔お祓い〕のステップで抵抗する。

 すったもんだの末、やっと奪い返したサンダルをはいた猿は、先を行く禁太郎たちを追いかけた。
 「おーい、待ってくれよー」と言ってる間に追い付いてしまった。「すげーな、このサンダル!」
 そう言って猿が振り返ると、とぼとぼと歩いている×××姫の姿が小さく見えた。
 そのとき突然、猛烈な強風が襲いかかった。風がおさまって目を開けると、×××姫が羽織っていた腹掛けが吹き飛ばされ、空高く舞い上がっていた。

 「ほらね。これで一勝一敗だ」と、北風が言った。

 猿は、宙に舞っている腹掛けに向かって跳び上がった。見事に腹掛けをつかみ、物理的には有り得ない軌跡を描いて元の地点に戻ってきた猿は、サンダルをじっと見ている。
 「すげーぞ、このサンダル!」

 こうして、猿は飛躍的跳躍力を手に入れた。しかし、この能力が地下のなまずとの戦いに役立つかどうかは謎である。次回、「玉をなくした禁太郎」に続く。

| コメント(0) | トラックバック(0)
WebMoney ぷちカンパ

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://homeposition.net/mt/mt-tb.cgi/63

コメントする

カレンダー

<   2009年6月   >
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

タグクラウド

Powered by Movable Type 4.261

このページについて

このページは、かみ かずしげが2009年6月11日 00:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「犬神の“使い番”」です。

次のブログ記事は「玉をなくした禁太郎」です。

最近の記事はメインページで、過去の記事はアーカイブで閲覧できます。