熊にまたがり、西への旅を続ける猿と禁太郎。四方山話で道中の退屈を紛らわせている。
「猿くん、このあいだ、生最中って言ってたけど、それ、おいしそうだね」
「生最中? おれ、そんなこと言ったっけ…」
「最中の中に生クリームが入ってるのかな。それとも生キャラメル?」
「ああ、生最中じゃないよ。“なまか”だよ、“な・ま・か”」
熊はのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。
「じゃあ、僕と猿くんと熊くんは“なまか”ってこと?」
「そう。みんな“なまか”だ」
「そういうの、何だか楽しいね」
「うん。何だかよく分かんないけど、妙に懐かしい響きだね」
熊がのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。
「さっきから、誰かついてきてるぞ」
「そうだね。犬だったらいいな」
「何で?」
「犬と猿と雉がそろったら、桃太郎と同じになるなって思ったんだ」
「ふーん」
「猿くんは、誰がいい?」
「そうだな、あとは猪だな」
熊がのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。
「えーっ、禁太郎って河童じゃなかったの?」
「失礼だな。僕は人間だよ」
「でも、頭にお皿があるんだろ?」
「違うよ。これは、こういう髪型なの」
「あ、ほんとだ」
熊がのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。
「あのー、お話し中、すいませんが…」
これまでずっと黙ってついてきていた馬が、ついに禁太郎たちに声をかけてきた。熊が足を止め、猿と禁太郎が振り向いた。すると、そこにいたのは、犬でもなく、雉でもなく、猪でもなく、ぽっくりぽっくりと歩く、あの馬だった。そして、その馬の頭には、あのケシカラン角が生えていた。
ここまでは予定通りの展開だったが、現実の方が全く進展しないという予想外の危機的状況に追い込まれた作者は、ここでついにネタを水増しして話を引き伸ばすという暴挙に出た。次回、「馬になった殿様の話」に続く。


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