熊にまたがって、ケシカラン鹿退治の旅に出た禁太郎。その行く手にいきなり立ち塞がったのは大きな岩山だった。その岩山を見上げていると、こんな声がした。
「おーい。オレをここから出してくれー」
しかし禁太郎は、その声を無視して岩山を避けて通ることにした。
「出してくれたら、すっげえジーンズをあげちゃおうかなー」
禁太郎は、思わず熊から飛び下りて岩山を駆けのぼった。
「どこ、どこ?」
声の主は、岩山の中ほどから顔を出している一匹の猿だった。
「いやあ、これ、前から欲しかったんだよ」
すっげえジーンズをはいた禁太郎は、上機嫌。
「それにしても、熊くんは穴掘りが上手だよなあ」
熊は何も言わずに禁太郎飴をガリガリと貪り食っている。
「うまそうだな、それ。オレにもくれよ」
猿がそう言うと、禁太郎が腹掛けの中から禁太郎飴を一本取り出して猿に渡した。
「ほら、この切り口のところに僕の顔が描いてあるだろ? ほっぺたのところにはマヨネーズが入っているんだよ」
猿は禁太郎飴をちゅうちゅう吸い始めた。
「それは、ケシカランな」
禁太郎の話を聞いた猿はこう言った。
「よーし。おれもなまかに入るぞ」
こうして、ケシカラン鹿退治の旅に猿が加わった。
熊にまたがった猿と禁太郎は、とりあえず西へと向かった。こんなことで本当に大丈夫なのだろうか? しかし、このときはまだ、背後から忍び寄る影に誰一人として気付いていないのであった。次回、「禁太郎と角のある馬」に続く。


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