突然空から闖入したJを、意外にも城の人びとは歓迎した。城の人びとは、明らかに村人たちとは異なっていた。
「伯爵がお待ちかねです」
一瞬、Jは耳を疑ったが、その中の一人は確かにこう言った。
「伯爵が、私を待っているって?」
Jが驚いて尋ねると、その人物は、こう答えた。
「正確に言うと、あなたが作った村の地図を、首を長くしてお待ちになっているのです」
そして、伯爵と面会できるのは夜に限られているので、それまでの間は、城内を見学しませんかとしきりに勧めた。
その案内人が、Jを先導している。村からは田舎町のように見えた城は、たしかに複数の建物で構成されていたが、実際は何かの研究機関のような雰囲気だった。何やら研究室のようなところで奇妙な機械を操作している研究者に、あれこれと説明されたりしたが、どれもこれもJには理解不能なものばかりだった。
「さっきの人たちが、手でガチャガチャとやっていた機械は何なのですか?」
最初の建物を出てから案内人に尋ねると、あれは“鍵の板”だという返事だった。何とかピュータという万能機械に司令を送り込む機械だという説明で、Jは納得せざるを得なかった。
「そうだ、測量師さん。ここの世界の地図を御覧になりますか?」
次の建物の前で、案内人が、ふと思いついたようにこんなことを言った。
「ここの世界?」
「ここの〈図書館〉にしかない珍しい世界地図ですよ」
Jは是非見せてほしいと答えた。
その地図室と名づけられた部屋は、〈図書館〉の最上階にあった。壁面全体が地図だった。Jには見覚えのない地形ばかりで、どこの世界なのか、さっぱり分からない。
「一体、これはどこの地図なんですか?」
「あなかがお分かりにならないのも無理はありません」
案内人は、その地図上の大きな海の中から小さな島の群れを探し出して、指差した。
「あの島々を見てください」
見ると、その島々はJにも見覚えのある形をしていた。
「あれが地球です」
それを聞いて、Jは目眩いがしてきた。


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