Jと助手たちは根気よく測量と地図作りを続けたが、村の中央にそびえる山の中腹から上の部分だけが空白のまま残ってしまった。もちろん、その山の頂きに城があることは、わざわざ地図など作らなくても目で見れば分かることだった。
城へと続くように見える道は、いく筋もあったが、実際にその道を歩いてみると、途中でぷっつりと途切れていたり、いつの間にか城から遠ざかる別の道に出てしまったりする。その道を引き返すと、行き止まりになったり、また別の道につながっていたりするのだった。つまり、何度やっても出鱈目な結果になってしまうのだが、決して城にたどり着くことはなかった。
あるとき、仕事の依頼主からの(曖昧な表現であるため、公文書とも私文書とも解釈できる)手紙を届けに来た使者に(その後、城に帰るものと期待して)ついて行ったら、その使者の自宅に連れて行かれたことがあったが、その時に知り合った使者の姉が後日教えてくれた話によると、城の人がどの道から出てくるのかは予測不能だということだった。
Jは、城から出てくる人がいるのだから、根気よく続ければ、いつかは城へと続く道が開ける筈だと考えていたが、一週間ほど試してみて(一度も成功しなかったため)、自分たちは城に拒まれているのだということを、ようやく悟った。
Jは、(もう何十回めだか分からなかったが)唐突に断たれている道に出くわしたときに、ついに意を決した。二人の助手をポケットに入れたかと思うと、走り始めた。助手たちが「その先には道がないよ」と叫んだが、Jは落ち着き払ってこう答えた。
「道だと? そんなものは必要ない」
そして、Jは空へと舞い上がった。


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