ある村に、嘘つきの少年がいた。
ある日、少年が「娘が来たぞ! 若くてきれいな娘が来たぞー!」と叫ぶと、村中の男たちが目の色を変えて飛び出して来た。それが面白くてたまらず、何度も同じ嘘を繰り返した。
男たちは、どうせまた嘘だろうと思いながらも、ひょっとすると今度こそ本当かもしれないぞ、という本能の声には逆らえず、何度も同じ嘘にひっかかっていた。
そういうことが何度も続くうちに、さすがにだまされる男の数も減り、少年は次第に誰からも相手にされなくなっていった。
そんな、ある夕暮れのこと。少年の体に異変が起こった。嘘ばかりついていた報いで、とうとう娘の体になってしまったのだ。少年は叫んだ。
「イヤァァァァァァァン!」
妙に艶めかしく、どこか懐かしい娘の声が村中に響き渡ると、矢も楯もたまらくなった男たちが、ぞろぞろとやって来た。
暗くなりはじめた空では、上弦の月が妖しく輝いている。


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