娘と少年

 ある村に、嘘つきの少年がいた。

 ある日、少年が「娘が来たぞ! 若くてきれいな娘が来たぞー!」と叫ぶと、村中の男たちが目の色を変えて飛び出して来た。それが面白くてたまらず、何度も同じ嘘を繰り返した。

 男たちは、どうせまた嘘だろうと思いながらも、ひょっとすると今度こそ本当かもしれないぞ、という本能の声には逆らえず、何度も同じ嘘にひっかかっていた。

 そういうことが何度も続くうちに、さすがにだまされる男の数も減り、少年は次第に誰からも相手にされなくなっていった。

 そんな、ある夕暮れのこと。少年の体に異変が起こった。嘘ばかりついていた報いで、とうとう娘の体になってしまったのだ。少年は叫んだ。

 「イヤァァァァァァァン!」

 妙に艶めかしく、どこか懐かしい娘の声が村中に響き渡ると、矢も楯もたまらくなった男たちが、ぞろぞろとやって来た。

 暗くなりはじめた空では、上弦の月が妖しく輝いている。

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このページは、かみ かずしげが2009年4月30日 22:55に書いたブログ記事です。

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