今週も未映像化作品の活字版を読んで感想を書く。先週とりあげた『血文字の罠』は高級デパートだったが、今回の『人形の密室』は老舗デパートだ。この二つを読み比べる(*)のも一興かもしれない。
(*)サラ・ブックス版の『死のクリスマス』は実家の本棚にある。その改訂版が『人形の密室』なのだが、読み比べることができないのは残念だ。仕方がないので、1975年(そのとき僕は中二だった)に読んだときの記憶と比べてみたが、34年前のがっかり感が見事に再現された。これは、どう考えても翻訳者のせいではなく、原著者が悪い。
犯人は、老舗デパートのディスプレイ部のチーフ。殺害されるのは幼なじみで同僚のデザイナー。しかし、動機があいまいでよく分からない。嫉妬なのか、仕事上の対立なのか、あるいは信仰の問題なのか…。それらを全部合わせても、計画的に殺すほどのことじゃないだろうと思う(カッとして突き飛ばしたら打ち所が悪くて死んでしまったという話なら納得できる)。その計画も杜撰で、犯行時のミス(当然、その証拠の発見のされ方)も、何だか妙に投げやりな感じだ。この作品は、倉庫の中にそっと眠らせておいてもよかったのではないだろうか。まあ、ファンにとっては嬉しい掘り出し物には違いないけれども。







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