吾輩が死んだ翌年に、飼い主は実家を離れてペットを飼えないアパート暮らしを始めたそうである。その後しばらくこの家では猫のいない日々が続いていたらしいが、それも長くは続かなかった。
ランという猫がいつやってきたのか、はっきりとは思い出せないけれども、歴代の猫の中で一番長生きだということだけは確かである。彼女は全身をふさふさとした真っ白な毛でおおわれた気品のあるいでたちをしている。瞳は左右で別々の色をしているそうだ。
ときどき怪我をしたり病気をしたりする以外、これといって大きな事件もなく、平穏な日々を送っているようである。ただ、このごろ食欲があまりないというのが心配といえば心配だ。
最近、そんな彼女に弟子入りした野良猫がいるそうだ。野良猫だから名前はない。そいつは、ふらりとやって来て飯を食う、そういう気儘なやつだ。すると彼女もつられて飯を食う。なかなかに見どころのある弟子で、熱心に師匠の後をついて回り、修行に励んでいると聞く。
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