掘ったイモ、いじんなー!

 といっても、英文を日本語で覚える話ではない。芋掘りの話だ。

 そのとき僕は幼稚園児だった。幼稚園の先生に連れられて、みんなで芋掘りに行った。土の中に芋があった。僕は七個ぐらい、○○君は十個以上も掘り出した。うちに持って帰って食べるのが楽しみだった。

 先生が大きな袋を持ってきた。袋の中に芋を入れなさいと言った。僕は七個ぐらいの芋を全部、袋の中に入れた。○○君は十個以上の芋を全部、袋の中に入れた。みんなは自分が掘った芋を全部、袋の中に入れた。

 みんなの芋が袋の中でごちゃまぜになった。僕の七個ぐらいの芋も、○○君の十個以上の芋も、もうどこへ行ったのか分からなくなった。

 先生は、袋の中から何個かずつ芋を取り出して、同じ数になるようにみんなに配った。僕は何個かの見覚えのない芋をもらった。○○君も何個かの見覚えのない芋をもらっていた。とてもがっかりした。もらった芋の数は覚えていない。芋の数なんか、どうでもよかった。

 僕は、自分で掘った芋が欲しかったのだ。自分で掘った芋を食べたかったのだ。

 その日、もらった何個かの芋を、うちに持って帰って食べたんだと思う。芋掘りの話をしながら食べたんだと思う。だけど、どんな味だったか全く覚えていな い。本当は食べたのかどうかも思い出せない。もしかすると、僕は食べなかったのかもしれない。

 僕は、誰が掘ったのか分からない芋なんて、食べたくなかったのだと 思う。
 自分の手で掘り出した芋が食べたかったんだと思う。

 これが「びょうどう」というものだと教えられた。「びょうどう」なんてバカだと僕は思った。

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このページは、かみ かずしげが2008年10月20日 23:52に書いたブログ記事です。

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